オケレメモ ホルンの調性
ホルンに関して、
ベルリオーズ、リヒャルト・シュトラウスの書によるとワーグナーのように、
調性が変わるごとにホルンの調性を記譜し直すのが良いそうだ。
これが持ち替えで調性を変えるというレベルではなく、
極端な話1小節ごとに変えちゃうくらいの変わり様なんです。
これに対して伊福部昭の書によると同じようにワーグナーを名指しにして、
このような書き方は大変見づらいものであるからやめたほうがいいと言っています。
まるで逆に意見だ。
結論を言ってしまえば現代においては確実に伊福部昭先生の方が良いと思う。
現代ではもはやほとんど全てのホルンがin Fで統一されているからだ。
リヒャルト・シュトラウスといえばロマン派最後の作曲家と言ってもいいくらいの後期ロマン派の作曲家ですが、
むしろその時代の人がまだそのような意見を持っていたことにも少し驚きです。
ただしそれは、リヒャルト・シュトラウスのお父さんが優秀なホルン奏者であったことと無関係では無いと思う。
シュトラウスいわく、調性を細かく変える方がむしろ読みやすく、たいていのホルン奏者はむしろ瞬時に移調して読むことに慣れているらしい。
そもそもなんでそんなワーグナーのように頻繁に調性を変える事があったのかと言えば、それはナチュラルホルンを鑑みると非常に気持ちはよく分かる。
ナチュラルホルンにおいては基本がその調の倍音のみ、という事が前提にある。
ただし全部の楽器を調性ごとに用意するわけにもいかないので、
管を付け替える、スライドさせる事によって様々な調性を演奏することが可能になったわけである。
つまり、その状況を想像してみるとやはり全部がドレミソという意識の中で、
管によりin E, in Ebなど調性を変更させる、
という事に基づけば確かにワーグナー、シュトラウスの書き方も慣習として気持ちは分かる。
とまあ、最初読んだときはリヒャルト・シュトラウスがそう言ってるから、え、そうなの??
と思った時もあったけど、
やはり現代においてはin Fで統一の方が良いと思います。
ただ個人的にはトロンボーンのように全部実音で表記したいです笑
ビオラのようにハ音記号で実音が1番分かりやすいと思うのだけど。。
ちなみにこのナチュラルホルンの方の音色を聞いてるとホルンという楽器のポジショニング、性格が何となく掴めてくる感じがします。
この楽器は金管楽器ですが根底にあるモノは優しい印象がします。
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